日本におけるMLMの歴史と位置付け

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ネットワークビジネス(MLM:マルチレベルマーケティング)は、1937年にアメリカのカリフォルニア州で誕生しました。カリフォルニアビタミン社が、自社製品の販売促進のために作り出した販売システムが、マルチレベルマーケティングの始まりです。

そしてアメリカでは、その後に多くの会社によってマルチレベルマーケティングの手法が用いられました。そのため、ネットワークビジネスは、多くのアメリカ国民に認知されるようになりました。

このようにアメリカでは、多くの国民に「合法的なビジネスだ」と認識されているネットワークビジネスですが、日本ではアメリカほど浸透していません。ただ日本においても、ネットワークビジネスは法律上認められている合法的なビジネスです。

そこで今回は、「日本におけるネットワークビジネスの歴史と位置付け」について解説します。

日本におけるネットワークビジネスの歴史

アメリカで誕生したネットワークビジネスですが、日本ではいつ誕生して、どのような歴史をたどっていったのでしょうか。実際のところ、日本でのネットワークビジネスの歴史の中には、残念ながら悪徳企業が流行った時代もありました。

ここでは、日本におけるネットワークビジネス業界の誕生から悪徳企業の淘汰と、その後の成長の歴史について説明していきます。

日本におけるネットワークビジネスの誕生

日本でのネットワークビジネスの誕生は、1963年に日本タッパーウェアが設立されたときといわれています。日本タッパーウェアは、料理などを保存する時に利用されるプラスチック製の容器を販売した会社です。プラスチック製の容器は、私たちも一度は目にしたことがある製品だと思います。

ちなみに、商標登録をしているためタッパーと呼べるのはタッパーウェア社が製造した商品のことを指します。そのため、他の類似品は正しくはタッパーと呼ぶことはできません。しかし、商品自体が広く浸透したため、プラスチック製の容器のことを一般的に「タッパー」と呼ぶようになりました。

そして、その功績に大きく関係したものが、ネットワークビジネスを活用した販売手法なのです。

タッパーウェア社は、アメリカで行っていた販売方法である、ホームパーティー形式を日本でも同様に採用しました。そして、密閉性が高いという口コミとアメリカ風の生活への憧れを演出しながら広めるという手法をとりました。

また、会員制の販売方法をとり、紹介者の多さによって割引率を増やすというシステムも導入しました。

その後1975年に日本シャクリー、1979年に日本アムウェイが設立されました。1980年代になると、ネットワークビジネスを商品販売に取り入れた会社は、日本でも着実に成長していきました。

悪徳企業が誕生した1970年代の負の歴史

しかしその一方で、日本でも悪徳企業が流行った時代がありました。日本で最初に生まれた悪徳企業は1970年代に誕生した、APOジャパン(1971年設立)、ホリデイマジック(1972年設立、1977年倒産)、ジャッカーチェーン(1973年設立)です。この3社は「三大マルチ」と呼ばれました。

これらの会社では、販売登録や上級販売員に昇格するために「高額な登録料」が必要でした。また、商品の流通がおきなくても販売員をリクルートするだけで「スポンサー料」が得られる仕組みでした。

つまり、商品の流通よりも人を勧誘することによる、お金儲けだけを目的にした要素が強かったため、当時の社会問題となりました。

しかし、国は法整備を整えていき、1976年に訪問販売に関する法律を施行しました。それから、1979年に無限連鎖講の防止に関する法律を施行すると、徐々に悪徳企業の数は減っていきました。

その後、訪問販売に関する法律は1988年に第一回改正を行い、続いて1996年に第二回改正を行いました。そして、2001年になると、訪問販売法は特定商取引に関する法律に改称されました。

また、2009年に消費者庁が誕生したことで、悪徳企業だけでなく、ネットワークビジネスに関しての相談件数も減少しています。このような形で、現在では業界全体の健全化が進んでいます。

大手企業のネットワークビジネス参入

法整備が整い、健全に事業を行うネットワークビジネス企業が増えることで、異業種や大手企業が続々とネットワークビジネスに参入してきました。

具体例としては、ダイエーやジャスコといった流通大手の企業が、100%出資の子会社を設立してネットワークビジネスに参入しています。

また、1989年には日本に展開していた外資系のネットワークビジネス企業であるシャクリーを、山之内製薬(現アステラス製薬)がグループ企業として買収しました。(2004年アクティベイテッド・ホールディングスL.L.Cに株式譲渡)

また、ソニーも化粧品メーカーを設立して、1981年に店舗販売から専売代理店の制度を導入し訪問販売へと移行しました。その他にも、女性用下着メーカーとして有名なシャルレや、プルーンで有名な三基商事もネットワークビジネスの仕組みを使って自社製品を普及させ、大きく発展した企業です。

このように、いまや多くの大手企業がネットワークビジネスの仕組みを理解し、自社製品の普及のために積極的に取り入れています。

また、法律や業界としてのコンプライアンスの強化などによって、2006年に経済産業省が行った業界調査では、「ネットワークビジネスを主宰する企業の中でサンプルとして抽出された288社の年商」は、合計で1兆1209億円ということが明らかになりました。

つまりネットワークビジネス業界は、今後さらに成長が期待される業界なのです。

日本におけるネットワークビジネスの位置付け

さて、ネットワークビジネスを行う上で、日本におけるネットワークビジネスの位置付けを理解しておくことは大切です。

アメリカにおけるネットワークビジネスの広がり

ネットワークビジネスは、1937年にアメリカで誕生しました。しかし、コンピューターが発展していないその時代には、ネットワークビジネスで大きな収入を得るのは本当に一握りの人間でした。

そのため、ネットワークビジネスは夢のあるビックビジネスではあるけれども、成功するのには相当の努力と実績が必要で、難しいビジネスとして認識されていました。

そして1980年代になってコンピューターの普及が増えるにつれて、ネットワークビジネスも一気に発展することになりました。そのようなネットワークビジネスの歴史は、リチャード・ポーによって以下の4つに分類されています。

・WAVE1(1945~1979年):ネットワークビジネスにおける、さまざまな実験段階の時代

・WAVE2(1980~1989年):パソコンの普及に伴って成長発展し始めた拡散段階の時代

・WAVE3(1990~1999年):急発展したマス段階の時代

・WAVE4(2000年以降):一般化した普及段階の時代

アメリカでは、このような歴史を経てネットワークビジネスは一般的に広く普及していきました。

日本におけるネットワークビジネスの位置付け

日本でネットワークビジネスというと、まだまだ一般的に広く認識されているものではありません。多くの人はネットワークビジネスというと「ネズミ講や悪徳マルチ商法と同じである」という誤った捉え方をしています。

日本では1976年に「訪問販売法」が制定されて以来、ネットワークビジネスも法の下に規制されることになります

そして前述したように、この法律は消費者を守るために何度か改正されています。そして、最終的には2001年に定められた「特定商取引に関する法律(特商法)」によって規定されて、現在に至ります。

この「訪問販売法」から「特定商取引に関する法律(特商法)」に至るまでに、ネットワークビジネスに関する法律は、以下の3点が大きく変わりました。

・ネットワークビジネスの定義

訪問販売法では、特定の利益をエサにして人を勧誘して、その入会金や最初の負担(特定負担)が2万円を超える場合はネットワークビジネスとして法律の規制を受けていました。そのため、この法律の下では、「特定負担を2万円以下にすることで規制から逃れる」といったことが行われていました。

一方で2001年の改定では、たとえ10円であっても特定負担が伴う場合は、法律の規制を受けることになりました。

つまり、結果的にネットワークビジネスとして認められる範囲が広くなったといえます。しかしその反面、金額がいくらであっても、特定負担を伴うものはネットワークビジネスとして特定商取引(特商法)に関する法律の下で規制を受けることになりました。

・広告規制

以前は、会社の広告のみが規制の対象となっていました。しかし、特定商取引に関する法律(特商法)では、個人が行う広告も厳しく取り締まられることになりました。

・誇大広告の禁止

以前よく見かけた「月収○○万以上」などという広告は、根拠となる計算式を記さなければ取り締まられることになりました。

このように、ネットワークビジネスでは年々法律が整理されてきています。規制内容が厳しくなってきていることは確かですが、法律で規制されるということは、「それに沿ってさえいれば合法的なビジネスだと認められている」といえます。

ただ、多くの人はそのことを知らないために、「ネットワークビジネス=悪」といったイメージを持ってしまいます。

今回述べたように、ネットワークビジネスは、日本においても法律的に合法的なビジネスだと認識されています。ネットワークビジネスの問題点は、そのことが一般人に広がっていないことです。

その問題を解消するためにも、ネットワークビジネスに関わる人であれば、ネットワークビジネスについて正しく書かれた本や雑誌を読むようにしましょう。そうすることで、ネットワークビジネスへの誤解を解くことができ、あなたの成功へもつながります。

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