主婦やサラリーマンの中には、副業を行って大きな副収入を得ている人がいます。そして、中には副業によって得られる副収入が増えたため、会社を立ち上げて税金対策を行う人もいます。
副業による利益が大きくなった場合、個人事業主として行うより、会社として事業を行った方が支払う税金は圧倒的に安くなります。
副業を行っており、このような節税時に忘れてはいけないのが「税務調査」になります。
日本の税制は申告納税制度を適用しているため、基本的にはあなた自身が申告した内容で税金の支払額が決まります。一方で、数年に1回のペースといったように、不定期で税務署から確定申告の内容に関する調査が入ることがあります。このような税務署による確認作業を「税務調査」といいます。
副業を行って節税対策を行う主婦やサラリーマンは、こうした税務調査についても理解しておかなければいけません、
そこで今回は、「副業による副収入にかかる税金対策と税務調査」について解説します。
税務調査の基本
税務調査に対する対策を立てる前に、「税務調査とはどのようなものか？」ということを理解しておく必要があります。
そこで以下に、税務調査に関する基本的なことについて記します。
税務調査とは
主婦やサラリーマンが副業で副収入を得ている場合、副収入にかかる税金を確定申告によって支払わなければいけません。そして、こうした確定申告に対して、数年に1回の割合で税務署から「確定申告を正しく行っているか？」という調査が行われます。
税務調査は、「個人事業主であれば約1パーセント、法人の場合は6～7パーセントを対象に行われる」といわれています。
また、「収入額が税務調査を行うに値する額に達しているか？」ということも、税務調査が入る1つのポイントになります。例えば、年間所得が200万円の人と1,000万円の人では、1,000万円の所得がある人の方が、税務調査が入る確率は断然高くなります。
税務調査では、基本的に3年間分の帳簿をさかのぼって、正しく確定申告が行われていたかが調べられます。
個人事業主や会社を経営している人が、食事などのときに領収書を発行しているのは、この税務調査の際に、「経費として使った証拠」として残しておかなければいけないためです。
税務調査では、このようにあなたが行った確定申告が正しく行われたかを調べられます。
税務調査の実際
主婦やサラリーマンの副業による副収入がおおきくなると、確定申告に対する税務調査が入る可能性が高くなります。税務調査は不定期に行われており、基本的に過去3年間分の確定申告について調べられます。
実際に税務調査で行われることは、帳簿と領収書の確認作業になります。
例えば、「本当に必要経費として申告している額を経費として使っているか？」「売上は少なく申告されていないか？」など、主に売上と経費のことに関する内容が調査されます。
税務調査が行われる期間は、9～12月が多く、基本的には事前に通知があってから調査が行われることになります。
ただ、脱税などの疑いがあって、いわゆる「マル査」と呼ばれるような犯罪調査の場合には、事前に連絡無く調査が行われることもあります。このような場合には、強制捜査となります。
基本的には、事前の通知があり「任意調査」という形で税務調査が行われます。
つまり、明らかに業務の邪魔になる場合などには、税務調査を断ることもできます。ただ、税務署には「質問調査権」と呼ばれる権利があるため、断り続けていると罰則を受ける可能性もあります。
実際の税務調査で問題になりやすいのは、光熱費や車などの按分比率（あんぶんひりつ）になります。例えば「自家用車を何パーセント仕事として利用したのか？」「光熱費の何割を仕事に使っているのか？」というように、経費として認められるかが微妙なものは税務調査で突っ込まれやすいところです。
このように、税務調査では、帳簿と領収書を突き合わせて確定申告が正しく行われたかを調べられます。
そして指摘を受けた場合は、最終的にある程度確定した内容であなたが修正申告を提出することになります。ただ、状況によっては、税務署から確定した内容を押し付けられて、それに従わなければいけないような「更正」と呼ばれるケースもあります。
税務調査への対策
基本的に、毎年確定申告をきちんとしていれば税務調査に対して、特別に準備する必要はありません。
ただ、そうはいっても、税務調査が入るとなると、何かと焦る人は少なくありません。そこで以下に、税務調査対策の実際について記します。
帳簿上の変化が小さいと税務調査は入りにくい
主婦やサラリーマンが副業行い、副収入が大きくなって確定申告を行うようになると、税務調査を行われることが出てきます。税務調査では、主に帳簿と領収書をつき合わせて、「確定申告の内容に問題がないか」ということを調査されます。
そのため、基本的には毎年、正しく確定申告を行っている場合には、税務調査に対して特別に準備しておくことはありません。
ただ、税務調査が行われることで、予想していなかった税金を徴収されることもあるため、できれば無駄な調査は避けたいものではあります。そして、税務調査に対して行うことができる対策はいくつかあります。
基本的に税務調査は、「売上」や「利益」「利益率」「交際費」といった数値に異常が見つかることがきっかけとなり行われます。つまり、このような利益や利益率などの変動幅が前年と比較してあまりに大きいと、目立ってしまい税務調査を受ける可能性が高くなります。
このような理由から、税務調査が行われる可能性を少なくする事前の対策として、「帳簿上の変化を小さくする」ということは有効だといえます。
確定申告を行う際の帳簿上における数値に変化が少ない場合は、「例年通りだから特に問題ない」と判断されて税務調査の対象外になりやすくなります。
また、実際に調査に入られた後には、基本的に税務署から聞かれたことに応答するだけです。そのため、基本的には対策というものはありません。ただ、そうしたやり取りに自信がない場合には、税理士の立会いを依頼しておくことは1つの税務調査対策といえます。
以上のように、税務調査を少なくするためには、確定申告時の帳簿における変化を小さくすることが有効です。また、税務調査の当日が不安な人は、税理士の立会いをお願いすることも税務調査対策になります。
税務調査後に行われる罰則
税務調査が行われた後には、その内容によって不足している税金分を追加で徴収されることもあります。
調査後の基本的な後始末としては、まず大きく「修正申告」か「更正」という2つがあります。修正申告とは、税務調査時に指摘されたことを元に、あなた自身が新たに申告するものです。一方で更正は、税務署が作った申告内容に従って税金が徴収されるものです。
税務調査で不備が見つかって後から徴収される税金には、「過少申告加算税」と「延滞税」の2つがあります。
過少申告加算税は、正しく申告していなかったことに対する罰則的な追加の税金になります。具体的には、追加で支払わなければいけない税額の10パーセントが加算されます。
一方で延滞税は、税金の支払いが遅れたことに対して課せられるものです。実際には、追加で払う税金に9.2パーセントを日割りした額になります。また、遅滞税は、さかのぼっても1年分しか徴収されません。
このように、税務調査によって過少申告加算税と延滞税を支払うことになっても、せいぜい元々払うはずだった税額の20パーセント増し程度しか追加で徴収されることはありません。
ただ、税務調査によって不備が見つかり、なおかつ悪質性が高いと判断された場合には、過少申告加算税ではなく「重加算税」が課せられることになります。例えば、所得隠しや架空の領収書など、脱税行為を行うと、重加算税の対象になります。
重加算税を支払うことになると、追加で支払う税額が35パーセント上乗せされるため、非常に多くのお金を徴収されることになります。
さらにこのようなケースでは、延滞税は1年だけでなく、何年分でも徴収されることになります。そのため、延滞した年の分だけ延滞税も多く支払わなければいけません。
このように、税務調査によって不備が見つかった場合には、脱税行為さえ行っていなければ、そこまで多くの追加税を支払うことにはなりません。
今回述べたように、税務調査対策としては、「確定申告における帳簿の変化を小さくしておく」「当日に税理士の立会いをお願いする」というものが挙げられます。また、税務調査によって不備が見つかった場合でも、過剰に追加税が徴収されることはないため、必要以上に心配しなくても大丈夫です。
ただ、脱税行為を行っている人は、重加算税が課せられることになりますので注意してください。
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