副業サラリーマンが知りたい税金知識:給与所得控除と所得税

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サラリーマンの中には、本業とは別に副業を行っている人が多くいます。そうした場合、自分自身で確定申告を行わなければいけません。そのため、確定申告に関することを学ぶ必要があります。

つまり、副業を行うサラリーマンは、副業を行っていない人より税金に関して詳しくなければいけません。

確かに、確定申告や住民税などの最低限の知識だけでも大きな問題にはなりません。しかし、税金に関してより深い知識を持っていると、無駄な税金を払う必要がなくなったり、税金を支払い忘れたりすることが少なくなります。

そこで今回は、「副業サラリーマンが知っておくべき給与所得控除と所得税の知識」について解説します。

所得とは

主婦やサラリーマンが副収入に対する税金を考える際に必ず必要になることは、「所得という言葉を正確に理解しておく」ということです。

サラリーマンは、会社から給料をもらっています。そして給料に関して、「総支給」や「手取り」といった言葉は多くの人が意味を理解して使っています。しかし、「所得」が示すものを正確に把握している人は少ないと思います。

ただ、副業を行って副収入に対する税金を支払う場合には、所得が非常に大切になります。なぜなら、副収入に対してかかる税金の基本である「所得税」の計算は所得を基に行うためです。所得税は、副業によって得た収入の全てにかかるわけではありません。

所得とは、「売上(収入)から事業にかかった必要経費を差し引いた稼ぎ」を指します。

主婦やサラリーマンの人には、「経費」という言葉は聞きなれないものだと思います。経費とは、副業を行うためにかかったお金のことをいいます。

例えば、パソコンを使って副業する場合には、「パソコン代」「インターネット代」「パソコンを行うスペース代」などが必要になります。こうした副業を行うためにかかった費用に関しては、必要経費として認められます。

所得は「売上(収入)-必要経費」で計算されます。そして、所得税は所得のみが対象となるため、必要経費分に関しては税金がかかりません。

実際には、所得税の対象となるものは所得から扶養控除や配偶者控除、基礎控除、社会保険料控除といった、「所得控除」を差し引いた分になるため、税金の対象となる額はさらに小さくなります。

また、このような税金の対象となる所得は「課税所得」と呼ばれています。所得税は、こうして算出された課税所得の額に「所得税率」がかけられて計算されます。

主婦やサラリーマンが副業で副収入を得た場合には、こうした収入と所得、課税所得の違いを明確に理解しておくことが大切です。

給与所得控除とは

サラリーマンは、個人事業主の人や会社の経営者などがよく使う「経費で落とす」という言葉を使う機会はかなり少ないです。経費で落とすとは、会社のお金を使って食事や買い物をすることであり、いわゆる節税対策になります。

事業や会社の収入が大きくなると、その分を所得税として支払わなければいけなくなります。そのため、必要経費として物品を購入することで、納める税金の額が少なくなります。個人事業主や会社の経営者は、このようにして節税対策を行っています。

一方でサラリーマンの場合、経費を使って食事や買い物をすることはほとんどありません。そのため、「サラリーマンは経費が使えないから損だ」と考える人もいます。

しかし実際には、サラリーマンにも必要経費は「給与所得控除」として認められています。ただ、実際に経費として使った額ではなく、「法廷額」として一定の金額が決められています。サラリーマンの必要経費は、以下のような計算式で算出されます。

源泉徴収票の支払い金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40パーセント*収入が65万円未満の場合は65万円
180~360万円 収入金額×30パーセント+18万円
360~660万円 収入金額×20パーセント+54万円
660~1,000万円 収入金額×10パーセント+120万円
1,000~1,500万円 収入金額×5パーセント+170万円
1500万円以上 245万円

つまり、サラリーマンの所得額は「給与(年収)-給与所得控除」になります。前述したように、経費に関係してくる所得税は、収入ではなく所得にかけられる税金です。そして所得は、収入から必要経費を差し引いた額になります。

そのため、サラリーマンは経費を使っても使わなくても、初めから必要経費として所得控除額に対しては所得税がかからないようになっています。このように、サラリーマンでも必要経費が認められていることを理解しておいてください。

ちなみに、サラリーマンが払っている必要経費が給与所得控除より多い場合には、「特定支出控除の特例」によって、確定申告によって控除を受けることができます。しかし、この制度を利用しているサラリーマンはほとんどいません。

所得税の計算

所得税は、収入ではなく所得にかけられるものです。そして、サラリーマンは年収から給与所得控除額が差し引かれた額が、所得になります。そして、所得税はさらに所得から「所得控除」を引いたものに対してかかるようになります。

所得控除には以下のような物があげられます。

・医療費控除

・社会保険料控除

・生命保険料控除

・配偶者控除

・扶養控除

・基礎控除

所得から、以上の控除額を全て差し引いた額に所得税がかけられることになります。年末調整などで、生命保険などの書類を提出するのは、所得控除を計算するためです。

このようにして算出された額が、所得税がかかる「課税総所得」になります。そして、課税総所得額に応じて所得税の税率は変わります。

課税総所得ごとの税率を以下に記します。

課税総所得 税率
195万円以下 5パーセント
195~330万円 10パーセント
330~695万円 20パーセント
695~900万円 23パーセント
900~1200万円 33パーセント
1200万円以上 40パーセント

そして、所得税に関しては、「超過累進課税率」が適用されていることを理解しておく必要があります。

超過累進課税制度とは

副収入に対する税金を考える際には、収入と所得、課税所得の違いを把握しておく必要があります。副業を行って得た副収入にかかる所得税は、収入ではなく課税所得のみ対象になります。

そして、所得税の特徴として「超過累進課税制度」というものがあります。

超過累進課税制度とは、簡単に説明すると「所得が高くなると所得にかかる税率も上がる」といった制度です。所得税に関しては、超過累進課税制度が用いられますが、この制度に関しては、多くの人が間違って解釈しています。

所得税に関する税率は、所得額によって以下のように異なります(平成27年分以降)。

課税所得金額 所得税率
~195万円 5パーセント
195~330万円 10パーセント
330~695万円 20パーセント
695~900万円 23パーセント
900~1800万円 33パーセント
1800~4000万円 40パーセント
4000万円~ 45パーセント

この表だけでは一見、課税所得金が200万円であった場合、支払う所得税は「200万円×10パーセント=20万円」になると考えがちです。表にあるように、所得額が高くなるほど支払う税金も多くなります。そのため、多くの人は、課税所得金額が195万円や330万円といったように、税率が変わるポイントの額を超えないように意識します。

これは、195万円といったような所得税率が変化する金額を少しでも超えてしまうと、全額にかかる税率が高くなると考えているためです。

しかし実際に支払う税金は、このような計算にはなりません。超過累進課税制度では、所得が一定額以上になったときには、「超過した分にのみ」高い率の税率が適用されます。

例えば、先ほどと同じように課税所得金が200万円であった場合は、支払う所得税は「195万円×5パーセント+5万円(200万円-195万円)×10パーセント」になります。

このように、超過累進課税制度は、高い率の税率は超過した分にしか適用されません。このことは多くの人が勘違いしていることですので、しっかり把握しておくようにしてください。

今回述べたように、サラリーマンが支払う所得税は、必要経費や所得控除など、さまざまな計算によって算出されます。普段は会社が行ってくれるため意識するものではありませんが、副業を行う際には必要になってくる知識ですので、ぜひ覚えておくようにしてください。

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